💛子どもとの約束は「心地よい暮らし」への道標
わかります、その気持ち。わが子の成長を願うほどに、ついつい「あれもダメ、これもダメ」と、ダメ出しばかりになっていませんか?朝の支度、食事、お片付け…。
「なんでこんな簡単なことができないの?」と、イライラの毎日。子どもをガミガミ叱っては、夜中に「あぁ、また怒っちゃったな」と自己嫌悪に陥る。そんなループから抜け出せないと悩むお母さんは、きっと少なくないはず。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいんです。私たちが子どもに教えたい「ルール」って、一体何だろう?それは、ただ親の都合で押し付けるものでしょうか?
私は、子どもに伝える「お約束」は、決して自由を奪うものではなく、むしろ「心地よい暮らし」をみんなでつくるための道標だと考えています。
例えば、「おもちゃを使い終わったらお片付けしようね」というお約束。これは、「お片付けしなさい」と命令するのではなく、「おもちゃが散らかっていると、踏んで痛い思いをするかもしれないし、次遊びたい時に見つからないよね。だから、みんなが気持ちよく過ごせるように、一緒にお片付けしようね」と伝えること。
これは、「誰かを思いやる心」を育む、愛のコミュニケーションなんです。ルールを通じて、子どもたちは「どうすればみんなが幸せになれるか」を学び、社会性を身につけていきます。
大切なのは、「〜しなさい」という命令形ではなく、「〜すると、みんながもっと楽しく過ごせるよ」と、ルールの先に広がる豊かな未来を一緒に見せてあげること。そうすることで、子どもはルールを「守らされるもの」から「自分から守りたいもの」へと意識が変わっていくのです。
—🎁子どもとつくる「最高の自由」への5つのステップ
子どもにルールを教えることは、ただの躾ではありません。それは、彼らが自律した大人として生きていくための翼を授けること。そして、その翼で、彼らが本当の意味で自由に飛び回れるようにすることなんです。
では、具体的にどのように進めていけば良いのでしょうか。わが家で実践している5つのステップをご紹介しますね。
🌈STEP 1:ルールの「見える化」と「参加」
まずは、家族で決めたルールを一緒に考えることから始めます。文字が読めない子でもわかるように、イラストで描いたり、シールを貼ったりして、ルールを「見える化」します。
息子が3歳になった頃、「朝、自分で顔を洗おう」というルールを決めました。洗面台に「顔をゴシゴシ」と描いたイラストを貼り付け、「できた!」のシールを貼れるようにしたんです。すると、息子は朝起きるとまっすぐに洗面所へ向かい、「顔、ゴシゴシする!」と自分から言い出すように。ゲーム感覚で取り組むことで、「やらされている感」がなくなると実感しました。
🌈STEP 2:ルールは最小限に
「あれもこれも」とルールを増やしすぎると、子どもは混乱してしまいます。本当に必要なルールに絞り込み、まずは「これだけは守ってほしい」という核となる部分だけを伝えます。
娘が2歳の時、食事が終わるたびにお皿を自分で運ぶようになりました。でも、たまに床に落として割ってしまうことも。そんな時は、「大丈夫だよ。ゆっくりでいいから、しっかり持って運んでみようね」と声をかけました。完璧を求めず、「挑戦する気持ち」を褒めることで、娘は失敗を恐れずに挑戦し続けるようになりました。
🌈STEP 3:ルールを守れた時の「声かけ」
ルールを守れた時は、大げさなくらい褒めてあげましょう。褒めることで、子どもは「またやってみよう!」という内発的なモチベーションが湧いてきます。
息子が自分で靴を履けた時、「わぁ、すごい!自分で履けたね!パパ、とっても嬉しいよ!」と喜びを表現しました。すると、息子は得意げな顔で「もう一回やる!」と靴を脱ぎ、再び履き直すように。褒めることは、子どもの自信を育む最高の栄養だと感じています。
🌈STEP 4:失敗から「学ぶ」時間
子どもは失敗を繰り返しながら成長していきます。ルールを破ってしまっても、感情的に叱るのではなく、「どうしてこうなっちゃったのかな?」と一緒に考える時間を持つことが大切です。
娘がご飯を食べこぼした時、怒るのではなく、「大丈夫だよ。でも、お米さんが悲しそうに床に落ちてるね。次からは、お皿をもう少し近づけて食べてみようか」と優しく声をかけました。すると、娘は次の食事から、お皿をしっかり持って食べるように。失敗を「気づきのチャンス」に変えることで、子どもは自ら考える力を身につけていきます。
🌈STEP 5:親も「ルール」から自由になる
子どもにルールを押し付けるだけでなく、私たち親自身も「〜しなきゃいけない」という見えないルールから自由になることが大切です。完璧な子育てなんて存在しないのですから。
疲れている時は、お片付けを後回しにしたり、ご飯を少し手抜きしたりすることもあります。そんな時、息子が「パパ、今日はお片付けしないの?」と聞いてきたので、「パパ、今日はちょっと疲れてるから、明日一緒にやろうね」と正直に伝えました。親が完璧でなくても良いことを示すことで、子どもも「失敗しても大丈夫」だと感じてくれるはずです。
この5つのステップは、子どもが自律した人間として成長するための「魔法」のようにも見えますが、実は親子の信頼関係を深めるための「哲学」なのです。
—🎨子どもが守るルールと自由のバランス
子どもにルールを教えることは、「自由の定義」を教えてあげることに他なりません。
「やりたい放題」の自由は、一見楽しそうに見えますが、その先には、誰にも理解されない孤独が待っているかもしれません。一方、ルールの中で生きることは、「社会という大きな海」を自由に泳ぐための泳ぎ方を学ぶこと。
ルールは、私たちの行動に枠を与えることで、思考の幅を広げ、創造性を育む。一見矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、秩序があるからこそ、その中で生まれる「不測の事態」や「新たな発見」を心から楽しむことができるのです。
例えば、絵を描く時。もし、キャンバスが無限に広がり、色も無限にあるとしたら、私たちは何をどう描いていいのかわからなくなってしまうかもしれません。しかし、決められたキャンバスの大きさ、限られた絵の具の色の中で描くからこそ、「この色とこの色を混ぜたら、こんな素敵な色になるんだ!」という発見が生まれるのです。
それは、まるでアリストテレスが述べたように、**「善き生(eudaemonia)」**を追求する旅のようです。**「良い習慣を身につけること」**は、私たちが人生を豊かに生きるための**徳(virtue)**を育むことに繋がります。子どもにルールを教えることは、彼らの人生というキャンバスに、色鮮やかな徳を一つずつ丁寧に描いてあげることなんです。
親である私たちは、子どもに「善き生」を歩んでほしいと願っています。そのために、私たちは何をすべきなのか?それは、ただ「こうしなさい」と指図するのではなく、「どうすれば、もっと幸せに生きられるか」という問いを、子どもと一緒に考え続けること。
カントの言葉を借りるなら、**「自己の理性によって、自らの行為の法則を定める」**。子どもにルールを教えることは、彼ら自身が、自分自身の生き方をデザインできるようになるための、最初の第一歩なんです。
自由は、勝手気ままな行動ではありません。それは、責任ある行動の先に広がる、広大な世界。そして、ルールは、その世界へと旅立つための地図であり、羅針盤なのです。
—✅まとめ:子どもと「最高の人生」を築くためのチェックリスト
- **ルールの本質を理解する**
ルールは、子どもの自由を奪うものではなく、「心地よい暮らし」をつくるための道標であると心得る。 - **ルールを「見える化」する**
イラストや写真、シールなどを使い、子どもと一緒に決めたルールを「見える化」する。 - **「なぜ?」を大切にする**
ルールを伝える際、「なぜそのルールが必要なのか」を子どもが理解できる言葉で丁寧に説明する。 - **失敗を責めない**
失敗は成長のチャンス。感情的に叱るのではなく、「どうすればよかったかな?」と問いかける。 - **「完璧な親」をやめる**
親も不完全であることを認め、「一緒に成長していこうね」という姿勢を見せる。 - **「対話」を忘れない**
子どもが大きくなっても、ルールについて親子で話し合う時間を持ち続ける。 - **自由と責任のバランスを教える**
「自由は責任とセットである」ことを、日々の体験を通して伝えていく。
子育ては、決して楽なことばかりではありません。でも、このかけがえのない時間を、子どもと一緒に悩み、学び、成長する「最高の時間」に変えていきたいですね。
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